想像力の障碍

社会性の障碍
コミュニケーションの障碍
と書いてきて、最後は
想像力の障碍ですが、
実は、社会性の障碍コミュニケーションの障碍
もしかしたら、その根本は、想像力の障碍から起こっているものなのではないかと思ったりします。

何が一番問題になるのかと言うと、思考が、自分軸しかないこと

自分の言動によって、相手がどう思う
自分が相手にどう思われている
相手は何を思って、自分に言ったことなのか

そういうことは、きちんと説明してあげないとわからなかったりします。
そして、面倒なのは、

自分がわかっていることは、相手もわかっている
自分が嬉しい(楽しい・好きな)ことは、相手も嬉しい(楽しい・好き)

と思っていることがあります。

それから、経験したことのないことを想像できないから、初めての場面でパニックになったりします。

それが、想像する力の欠乏です。
これは、かなり知的レベルの高い自閉症の方にも多く見られます。

とても深くて、難しい話をすんごく簡単に書いちゃいました。


それを象徴するような、2つのエピソード

 ある日、具合の悪い長女が部屋で寝ていました。
 お昼ご飯を食べるのかどうかわからなかったので、息子に「お姉ちゃん、ご飯食べるかどうか聞いてきて」と頼みました。
 無言で、ダイニングからいなくなる息子。しばらくして戻ってきて、やっぱり無言。
 「お姉ちゃん、ご飯どうするって?」と聞いて初めて、「少し食べます」と、長女の言葉を伝えます。

自分が頼まれたのは、聞いてくること。だから、言われた通りにした。しかし、その結果を聞いた人に報告しなくてはいけないとは思っていない。

 ある土曜日の夜、お父さんが「明日、○○(息子が新しく買ってきたゲームソフト)のやり方教えて」と息子に言いました。
 すると、その場でお父さんにやり方の説明を始める息子。
 「今じゃなくて、明日教えて」
 もう一度言っても、やっぱり、また説明をし始めます。
 「だから、今じゃなくて・・・」
 後で気付きました!明日は、息子はカラオケに行く約束していて、家にいないのでした。

最初は、「明日はいません」と言うことを伝えることができないコミュニケーションの問題だと思いました。
でも、それよりも大きな原因は、“自分が明日はいないということを、お父さんは知らない”ことがわかっていないから、それを伝える必要があると思っていない想像力の問題でした。

これらは、息子が大きくなって、いろいろできることが増えて、できないことが際立ってきたからこそ、見えてきたことなんだと思います。もちろん、小さい頃は、そんなことを考える余裕すらない状況でしたから。

2009/12/12