5年生の夏休み前日、学校から帰ったKATは「さあ、ディズニーランド行くよ♪」と準備を始めようとしました(前の年は夏休みに入った日に出発)。「Kちゃん、今年は本当に行かないんだよ!」と私が言うと、サッと顔色が変わり、「エッ?マジ!?」という声が聞こえてきそうな顔をになり、そこでようやく“今年は行かない”ことに気付いたようでした。
がしかし、それからもしつこく、しつこく(“自閉っ子特有のしつこさ”ってわかりますか?)「ディズニーランド行きたいな」と言う日々が続きました。実はその年は“東京ディズニーランド20周年”で、テレビでもかなり頻繁に特集が放送されていて(特に夏休みには)、その度に言うわけです。で、一緒にテレビを見ていた私も、だんだんと「行きたいなぁ」と思うようになってしまいました。
その年、初めての試みで、KATに『夏休みのスケジュール』をいうのを作って、朝起きてからの毎日のスケジュールをカレンダー式にして、KATに自主的な行動をさせるようにしていました。それが思った以上の効果があり、感心するくらいスケジュールをきっちりこなし、それまでは何かにつけて「お母さん!」を連発して、何から何まで言わないとできなかったことが、一切私の手を煩わせることなく、一人でやるようになりました。そんな姿を毎日見ていて、「ご褒美ぐらいあげてもいいかなぁ?」と思うようになり、高速バスで往復するツアーだと、KATと私の2人で3万円位で行けると知って、思い切って申し込んでしまいました♪
前に行った時に持ち帰ったパークマップに番号を付けながら、行く前からKATにコースを決めさせ、今回は本当に私はただの付き添いで、全てKATが決めて動きました。前の2回で行って楽しかった所はもちろん、テレビで情報収集して行きたい所を決めてあったようです(なんとその場所までしっかり頭の中に入っていて、一切迷わずに行きました)。それは前の2回とは違うコースで、順番を並ぶのも全く問題ありませんでした。20周年ということで、いろいろな催しがたくさんあったのですが、KATにはアトラクション以外は夜のパレードしか興味がなかったようです。そのパレードもベンチに座って、これまでで一番良いポジションで見ることができて、大満足で“夢の世界”を後にしました。
『ここにすわってまちます』のカードは思ったより効果があって、私がどこかに行くときに手渡すと、一人で待つ間、それを握り締めて座って待っていることができました。カードがなくても大丈夫だったのでは?とも思いますが、実は最後の最後に2人同時にトイレに行くことになり、カードを持たせずに「終わったらここで待っててね」と、トイレの前のイスに座っているように伝えました。すると、先に出たKATから大声で「お母さ~ん」と叫ばれ、私もトイレの中から「もう少し待って」と叫び返す羽目になってしまいました。このカードは“待っている”ことを指示すると共に、“必ずお母さんが来る”という保障にもなっていたのではないかと思います。
“KATと2人きりで東京ディズニーランドに行く”という、私にとってはドキドキのチャレンジでしたが、とても良い経験になり、KATは思う存分楽しむことができて、本当に連れて行ってやれて良かったと思いました。しかし、ここで忘れてはいけないこと!“来年は行かない”ことを最初に納得させておかなければいけません。そう言うとKATは「だったら次はいつ行けるのか?」を聞いてきます。これがわからないと我慢もできないのでしょう・・・当てずっぽうに答えました。「次は高校生になったらね」・・・もしかしたら、これがKATの「高校生になりたい」最大の理由かもしれない・・・と最近思わずにいられません。
長らくのお付き合いありがとうございました。これで東京ディズニーランド編を終わります。