KATが通っていた小学校では、夏休みに入ってから3週間程、毎日午後から“自由水泳”が行われていました。これは、学校の先生1名と保護者が当番で、『暑い夏に子供たちを学校のプールに入れてあげよう』というPTA主催の行事(?)です。(が、ここ近年、やってくる子が大幅に減少しているようです。みんな習い事や塾・スポ少などで忙しくて、どうせ泳ぐのなら市営のキレイなプールに行くんだそうです・・・)
プールが大好きなKATは、1年生から6年生までほとんど毎日通っていました。低学年の間は私が送り迎えしたり、行きは一人で行かせて帰りは私が迎えに行って、ついでに当番の方にその日の様子を聞いたりしていました。4年生の時、その頃はもう放課後も一人で自転車で遊びに行くようになっていたこともあり、普段は一人で登下校しているのに、夏休みの自由水泳だけいつまでも親が付き添っているのもどうか?と思い、特学の担任とも相談して、自立を促す目的で一人で通わせることにしました。
ところが、プールでのKATの様子は「走らない・飛び込まない・ふざけない」の決まりを全く守れず、決められた時間にプールから上がることもできませんでした。(それこそ私が当番だった日には、専任の監視員として、ぴったりマークしていました。)当番の保護者の方はKATのことを知っていて、理解して温かく見守ってくださる方が多いのですが、中には全く知らなくて、とんでもない奴だと思われた方もいました。ある会議で、そんな方の一人(PTA役員)から「一人の子が全く言うことをきかず、その子のせいで他の子達も言うことをきかない」という意見が出てしまいました。
KATが言うことをきかないのは申し訳ないと思いましたが、他の子が言うことをきかないことまで、KATのせいにはされたくありません。その子たちは自分たちの行動の言い訳にKATを使っているだけで、それに大人がまんまと乗せられているんじゃない!と言いたかったのですが・・・実は、その会議に私も出ていて、その場ですぐに何か言えればよかったのでしょうが、何を言っても自分の子供への言い訳にしかならないような気がして、上手い言葉が見つからなくて何も言えませんでした(普段偉そうなことを言っている割に・・・ごめんなさい)。代わりに反論してくれる保護者の方が数名いてくださり、本当に救われました。
あまりの言われように憤慨しながらも、私の考えが甘かったんだ!と思いました。自由水泳に一人で通ったことは、間違いなくKATの自信につながっているのがわかっていたので、それは続けさせてやりたいと思いました。そうすると、やっぱりもっとちゃんとKATのことを知ってもらわなくてはいけないのです。そこで、次の年にPTA役員の方にお願いして、“KATについて理解してもらうカード”を作り、自由水泳の時に当番の方に見ていただくことにしました。障碍名もはっきりと記載し、わかるような伝え方、好ましくない関わり方などを具体的に書いたカードだったので、「ここまで書いて平気?」と心配してくださる方もいましたが、KATのためには知らなくて誤解されるよりも、きちんと理解してもらうことの方が大切だと判断しました。
その後の自由水泳には、大きなトラブルも無く通うことができました。それにしても思うのは“プールのルール”・・・「走らない・飛び込まない・ふざけない」・・・なんて“ないない尽くし”なんでしょう!これでは自閉っ子にはわかるはずがないですよね。「歩きます・静かに入ります・仲良く遊びます」とかだとわかり易いかも?・・・ニュアンスが微妙に違いますか???